当院の学会発表


超音波画像診断装置の半月板画像による比較検討

庄司明史  中村昭治

なかむら鍼灸接骨院

キーワード:超音波画像診断装置、半月板亜脱臼、半月板整復

【目的】 

 2008、2009、日本スポーツ整復療法学会で半月板の亜脱臼と、整復について発表した。 私は、多くの膝痛と半月板の亜脱臼は関与していると考えている。 この中村理論を証明し、エビデンスを獲得するには、半月板がクリアに映し出される超音波画像診断装置(以下 エコー)はどうしても必要な検査機である。半月板亜脱臼の研究は、アメリカ ボストンUAメディカルセンターや、オーストリア ウィーン大学などで行われ、学術発表されているが、この時使用される画像診断機はMRIであり、エコーによる半月板亜脱臼の調査、研究は中村が初めてである。又、半月板亜脱臼整復後の画像は世界初の事である。

さて、この検査機をいざ購入しようと考えた時、どのメーカーの又、どのグレードにしたら良いのか迷ってしまう。今回は半月板を映し出す事に優れている機種はどのレベルが良いのか、比較検討し、若干の私見を述べる。

【調査・使用する超音波機】

A社の協力のもとprosound 6 (以下Aタイプ)prosoundoα6 (以下Bタイプ)prosoundα7 (以下Cタイプ)の3タイプで調査した。プローブはリニアプローブを使用した。ちなみに価格帯はアバウトではあるが Aタイプ200万, Bタイプ350万, Cタイプ500万である。

【調査方法】
 当院に来院した膝痛患者 50人の内側・外側半月板の画像をA・B・Cのタイプで比較した。問題点としては3台の機械を同時に同一の患者で画像を比較する事がベストであるが、3台同時に調査はしていない。又、膝痛患者も同一ではなく、年齢,体重,性差などは統一されていない。又、他のメーカーとの比較もしていない。

【調査部位】
 内側の半月板は映りやすく、外側の半月板は映りにくい特徴がある。その理由は、外側筋群が強力な為、音波の反響が邪魔をされるからと考えられる。肥満の方も脂肪の存在から、やはり映りがあまり良くない。映りにくい部位2点をどれだけ鮮明に映すことができるかで、判定をした。

【結果】

 結果はCタイプだけが、外側半月板と肥満の方の半月板を鮮明に映す事ができた。ABタイプは鮮明に映す事はできなかった。

【結論】

結論として、超音波画像診断機を購入する時は出来るだけハイグレードな機種を取り入れる事が良い。

以前は、エコー診断にはスキル(熟練)が必要と良く言われたが、検査機のデジタル化や技術進歩などで、以前より画像がクリアに映る。その為スキルがそれ程必要ではなくなってきた。より多くの新しい発見の可能性が広がってきた。半月板をクリアに映し出す事が出来る検査機は、超音波とMRIだけであり、この点だけを見ればレントゲンやCTよりも優れている。本来エコーは骨を映すものではなく、逆に骨以外を映す為の検査機である事。我々業界は骨を映し出してくれる事を期待したが、メーカーは骨を映し出す事の研究開発はしていない。しかし、非侵入、非観血的で安全なこの検査機を利用する事で、我々の治療のエビデンスを獲得する事が出来ると確信した。

【問題と対策】

 問題点は何と言っても価格である。

ハイグレードにすることで高額になる。今回のCタイプは500万円前後である。

 私は価格を下げる為に行った事は、

@     知り合いの販売店を通して購入した。

A     メーカーに不要な物を省いてもらった。(カラーや白黒プリンター、コンベックスプローブなど)

これから購入を考えている方へ価格を下げる対策としては、
  @    販売店により価格が違います。何社か見積もりを取る事。

   A   
不要な物を省く。

B   エコー購入希望者が集まり、台数をまとめて購入し、メーカーと価格交渉をする。

C   共同で1台購入し、一定の場所に設置し共同で使用する。

D   中古機器の情報を得る。

E    購入側が何を一番映したいのかをメーカーに伝え、その事で議論し、それに合った機種を選択する。

【まとめ】

日本のエコーの技術は世界でもトップクラスである。この検査機と手技による半月板整復の技術の融合、非侵入の検査と非観血的な治療は、我々業界の者ばかりか、多くの膝痛で悩む患者にとって朗報となる。我々のこれからの仕事はエコーによる半月板撮影と半月板亜脱臼の整復法の教授である。

参考文献省略